こんにちは、伝統文化オンライン運営事務局です。
お箏講師の原田きよか先生へインタビューさせていただきました!
オンラインでお箏講座を検討されている皆さまのお役に立てるよう、先生に様々な質問をぶつけてみました。
ぜひ、始める前の参考にしていただけますと幸いです。
まずは、先生のご紹介から!

【原田きよか先生】
幼少より筝・三絃の手解きを受け、宮城会宗家・宮城喜代子・和江師に師事、内弟子として修行
森千恵子師に師事
『清香の夢のこと』ライブを日本各地、海外で開催
※伝統文化オンラインでは原田きよか先生の「お箏(おこと)⭐️個人レッスン」を開講しています!
原田きよか 先生インタビュー
先生がお箏を始められたきっかけと、その魅力にのめり込んだ理由を教えてください。
私は股関節脱臼で生まれまして、3歳まで歩けなかったんですね。
その時代は「何か手に職があると身を助ける」という考え方がありましたので、両親がピアノなどいろいろなものを見せてくれた中で、3歳ぐらいの時に「自分でお箏をやりたい」と自分で言ったみたいなんです。
自分にはその記憶はないんですけれども、いつしかお箏があるのが当たり前の生活になっていて、みんなが遊んでいる時にお稽古をする、ということもありました。
辛い時もありましたけど、その辛い時を乗り越えさせてくれたのもお箏だったのかな、というのは自分の中にありますね。
高校受験の頃、海外で活動されている先輩が「イギリスでロックバンドと共演したんだよ」という話をしてくれて。
当時ロックが大好きだったので、「私は絶対にイギリスに行ってロックバンドと共演するんだ」というのが自分の希望になったんです。
辛くてもうやめようと思っていたところに、それが希望になって、もう一回やってみようと。そんな感じで今に至っています。
プロとして活動される中で、一番の喜びややっていてよかったと感じる瞬間はどんな時でしょうか?
自分の中で一番辛い時期、ものすごくどん底で鬱になったことがあって、その時に本番が迫っていて、1日中弾かないと間に合わないという状況になったんです。
2、3週間、ご飯以外はずっと弾き続けて。
「これではいけない、舞台に立てない」と思っていた時に、「鳥のように」という曲を弾いていたら、自分が弾いている間に、鳥が会場中にブワッと飛び立つ映像が見えたんです。
自分の脳内の映像だと思うんですけど、「こんな感動があるんだ」と。
それ以来、自分が本当に気持ちよく舞台を踏めた時には、そういう映像が見えるようになって。
その感動を味わいたいがために、練習嫌いな私が練習をする、というところがあるんですよね。
あとは、演奏を聴いて涙を流してくださったり、「今つらいけど楽しかったよ」「この一瞬で力をもらったから、明日からまた元気になります」と言っていただけた時に「やっててよかったな」と思います。
私が音を出していることで、誰かが何かを感じてくださっているというのが、一番嬉しいことですね。
最近は子どもたちを教える機会も多いんですが、いわゆる「グレーゾーン」と呼ばれる、学校に行けない、人と接することが難しい、といった子どもたちが結構来るんです。
普段は感情を出さない子が「音がきれい」と言ってくれたり、じっと座っていられない子が演奏中はじっとしていられたり、演奏後に手をつなぎに来てくれたり。
「この子は接触が苦手で、担当の先生以外には手を繋がないんです」と言われるような子が、走ってきて手を繋いでくれたりすることもあります。
そういう瞬間に、この楽器が持つ力を感じますし、自分にとって一番の幸せだなと思っています。

興味はあるけれども難しそうと感じている初心者が、最初にぶつかりやすい壁や悩みはどんなことでしょうか。
箏は触れば音が出る楽器なんですが、いざ楽譜を見て「この弦がいくつなんだよ」という話になると、「難しいです」と言われることが多いです。
「ピアノは難しいけど、お箏なら簡単かな」と思って始める方も多いんですが、そんなに簡単なものではないんですよね。
ピアノは88鍵ありますが、お箏は基本13弦だけなので、「13だったらできるかな」と思われるのかもしれません。
あとは、日本の伝統楽器だから値段が高いんじゃないか、というイメージから入る方も多いですね。
そこで、今年から「触ってみるだけ」の機会を作るようにしていて、カフェに一日いて、お箏を置いておくんです。
来た方に「ちょっと弾いてみない?」と声をかけて、「触ってみるだけなら500円」「『さくら』を一曲弾くなら1000円」というように、価格を看板で分かりやすく打ち出しています。
「さくら」なら10分ほどで弾けるところまで教えられるので、そこから「もう少しやってみたい」「他の曲も弾いてみたい」という方には、月替わりで4月は「さくら」、5月は「チューリップ」というように曲を変えて続けてもらっています。
これは、知人の書道の先生がやっていた「毎月第2火曜日はここにいます」という活動形態を参考にしたものです。
生徒を3人までと決めていて、2人集まると「残席1席」と案内する。
そうすることで、固定の日時に「今月はダメでも来月」と参加しやすくなる。そういうやり方もあるんだなと思って、自分でも取り入れてみました。
全くの初心者、未経験から始める場合、どのような準備や心構えが必要でしょうか。道具などを含めて教えてください。
まずはご自分の爪を作るところからかなと思っています。
体験用の爪は用意していますが、子どもも大人も、自分のものがあるというのは、それだけで大切にできるものだと思うので。
あまり堅苦しく考えず、「自分でもやれるのかな」というところに重きを置いてほしいと思っています。
楽器を持っていなければ、まずはお貸しして、続けられそうだと思ったら購入する、というような形でも構いません。来た時だけ演奏する、という形もそれでいいと思っています。
昔のお稽古のように、演奏そのものよりも、その時間を私と共有すること自体を大切に思ってくれる生徒さんもいます。
例えば自閉傾向のある子たちは、まず人と接すること、話ができるようになることが大事で、演奏を教えることよりも、私と一緒にいる時間を大切に感じてくれることがあります。
教える先生は他にもたくさんいらっしゃると思いますが、私はそういう存在でありたいと思っているので、楽器を持たずに月1回来る、月2回来る、というようなペースも、その人に合わせてやってもらえばいいと思っています。

教室に通うのとオンラインレッスンとでは、どのような違いやメリットがあると思われますか?
同じ時間、同じ空間を共有することの良さもあるんですが、親御さんの送迎の時間が取れない、忙しいといった事情もあります。
オンラインであれば、ビデオ設備さえあれば、遠くにいてもレッスンが受けられるので、それはそれでいいところだと思っています。
先生のレッスンで、ここだけは大切にしているという指導のこだわりや特徴は何でしょうか。
それぞれの人に合わせたレッスンをすることです。
上手になりたい子には上手になる指導をしますし、「汚い音しか出せていなかったけど、綺麗な音を出したい」という子には、曲でなくてもそこだけを一緒にやります。
先生といる時間を楽しみたい子であれば、それでいいと思っています。
みんな同じように教えても、レベルも個人差も違うので、「この子にはこう教えればいいのか」「怒らないとやらない子」「怒っちゃダメな子」など、その子に合わせて対応を変えています。
ご年配の方だと、まず世間話から入って、「そろそろやろうか」というくらいのペースで進めることもあります。
レッスンなのか、人生相談の窓口なのか分からないようなところもありますが、子どもであれば親には話さないことを私にだけ話してくれたりもするので、そういう存在でもいいのかなと思っています。
私のレッスンは「私だから来たい」と思ってくれる方を大切にしたいと思っていて、そこは他の教室とは少し違うところかもしれません。
たくさんの人数をこなすというよりは、一人一人と過ごす時間を大切にしたいと思っています。
実際に先生のレッスンを受けられている生徒さんは、どのような変化や楽しさを実感されていますでしょうか。
「自信がなかったけど弾けた」という声はよく聞きます。
ご年配の方だと「全然上手にならないのよ」と言いながらも、同世代の方が「お稽古に来られなくなった」「寝たきりになった」「亡くなった」という話を聞く中で、「今、こうして弾けているだけで幸せだよね」というふうに、否定的だった気持ちが肯定的に変わっていく方が多いように感じます。
その方の「今日の一番いいところ」を見つけて褒めるようにしているので、そうすると、お化粧を綺麗にしてきてくれたり、少し身なりを変えてみたりと、自己肯定感が上がってくる様子が見えることがあります。
笑顔が見られなかった方が笑顔を見せてくれたり、話してくれなかった子が話してくれるようになったり、「ここが弾けたよ」と言えるようになったりする瞬間が、すごく嬉しいですね。

お箏を日常に取り入れることで、日々の生活や心境にどのような良い影響があるでしょうか?
お箏の音の波動で、心が落ち着くと思うんです。
忙しくても、1日30分でも、お箏だけに向かう時間を作ることで、心が落ち着いて、そこからまた気持ちを切り替えられる。
ティータイムのように、ほっと一息つける時間になるんです。
「絶対やらなきゃいけない」と義務にしてしまうと辛くなりますが、10分でも5分でもいいので、そういう時間を作ってみるといいのかなと思います。
最後に、これからお箏を始めたい、体験レッスンを受けてみようかなと迷っている方へのメッセージをお願いいたします。
「敷居が高い」「日本の文化は大変そう」と思うのではなく、まず一歩を踏み出してもらえたらと思います。
今、日本人自身が自国の伝統文化をあまり知らない、ということが多いように感じていて。私自身、海外に出た時に「どうして日本には何もないの?」と言われたことがすごくショックだったんです。
一時期、知人たちと「拠点になるような場所を作りたいね」と話していたこともあったんですが、場所の準備などいろいろあってなかなか実現には至っていません。
それでも、いつかそういう場所ができたらいいなと思っています。
日本人自身が、「日本にはこんな素晴らしいものがあるんだよ」ということを、もっと言葉にして大切にしてもらえたらと思うので、まずは一歩踏み出して、「何かやってみませんか」と伝えたいですね。
まとめ
原田きよか先生、ありがとうございました!
伝統文化オンラインでは原田きよか先生の「お箏(おこと)⭐️個人レッスン」を開講しています!
ぜひ、気軽にご参加ください。

