こんにちは、伝統文化オンライン運営事務局です。
落語講師の笑生十八番先生にインタビューさせていただきました!
オンラインで落語レッスンを検討されている皆さまのお役に立てるよう、先生に様々な質問をぶつけてみました。
ぜひ、始める前の参考にしていただけますと幸いです。
まずは、先生のご紹介から!

【笑生十八番先生】
講師歴50年以上の経験豊富な先生です。
北海道や東京の企業の講座や研修をはじめ、高校・大学でも特別講師として精力的に活動されており、教育・福祉に役立つ落語・笑いを提供されています。
※伝統文化オンラインでは、笑生十八番先生の「30分で小噺が話せる、オンライン落語ワークショップ」を開催しています。
笑生十八番先生インタビュー
十八番先生が落語を始められたきっかけと、その魅力にのめり込んだ理由を教えてください。
小学生から中学生くらいの時に、5つ上の兄が中学校で落語を始めて評判になったんですよね。
「あいつの弟だから、お前もやるんじゃないか」という雰囲気になって、高校に入ったときにその高校に落語研究会ができたんです。
「やらなきゃいけないのかな」という感じで始めてみたら、意外と好評で。それがきっかけでのめり込みました。
大学も落語研究会があるところを前提に選んで、ずっと続けてきました。
魅力は、やっぱり人前で喋って「あっ」と言わせることができるところですね。
意外なことを言ったり表現したりすると、非常にインパクトのあるレスポンスが返ってくる。それが魅力で、今でも喋り続けています。
高校生の時から今までずっと続けてこられているということですね。
今年で75歳になるんですけれども、16歳くらいの時からやり始めているので、59年ですね。
たまたま北海道大学の落語研究会に所属していたんですが、今年がちょうど60周年記念で、ほぼ自分の人生と同じように歩んできてる感じですね。

プロとして活動される中で、一番の喜びややっていてよかったと感じる瞬間はどんな時ですか。
私は札幌に住んでいて、東京の落語協会や芸術協会には所属せず、自分で展開し続けています。
活動の主体は企業さんから講師として講演をお願いされることです。
直接的な喜びは、お客様が「はぁー」ってうなずいてくれたとき。
これが「理解してくれたか」っていう表れなんです。
笑いはこちらが笑わせようと思って喋るからある程度予測がつくんですけど、納得してくれたときの「はぁー」は感激ですね。
もう一つは、リピートオーダーを受けたとき。
企業さんの場合、毎年誰かを呼ぼうとなったときに2年連続、3年連続というのはほぼありえないんですよ。
そこでリピートがあったときは非常に嬉しいです。うまくいったときは、その場の宴会で「うちでもやってくれ」とか、「ロータリークラブでやってくれ」という声がかかることもあります。
紹介というのは本当にうまくないと紹介者の顔に泥を塗ることになるので、軽々しくはしてくれません。
紹介をしてくれたときは、認めてくれた証拠なんです。
興味はあるけれど難しそうと感じている初心者が、最初にぶつかりやすい壁や悩みはどんなことでしょうか。
誰しも「落語をやってみたいな」と思う思考回路は正常だと思うんです。
ただ落語には型があって、スタンダードな形に沿ってやるのが有効な習い方なんですけど、実際にどこに行けば習えるのか、結局わからないわけですよね。
そうなると我流でやっちゃう。
我流に陥ってしまうと発展性が欠けて、改善しようもないし、上達する見込みもなくなってしまうんです。
だから、ある程度の型、標準的な喋り方を意識してからやられるといいと思いますね。
全くの未経験から始める場合、どのような準備や心構えが必要ですか。必要な道具なども含めて教えてください。
必須ではないんですけども、扇子と手ぬぐいは身近に用意されるといいと思います。
扇子は「高座扇(こうざせん)」という落語特有のものがありますし、手ぬぐいも「本手ぬぐい」というのは寸法が違うんですよね。
本手ぬぐいは尺貫法の「寸」のサイズなんですが、最近100円ショップなどで売っているものはインチサイズで、折り方の決まりごとに沿って折ると小さくなりすぎて落語には使いづらいんです。

高座扇や本手ぬぐいは、どこで手に入れているのですか?
最近はインターネットが便利で、アマゾンで「高座扇」や「本てぬぐい」と検索すれば出てきます。
心構えについては、落語をやって楽しいなと思う人がやっぱり長く続きます。楽しむ気持ちがあれば、もう十分です。
教室に通うのとオンラインレッスンとでは、どのような違いやメリットがあると思われますか?
明確な違いがあります。
オンラインの場合は必ず1対1でお願いしているんです。リアルな教室は集合教育になってしまうんですけど、1対1の方が教えやすいし教わりやすい。
他の第三者の存在を気にせずにいろいろ指摘ができますし、単純な質問でもできる。
もう一つは、画面を通じてやると、お互い集中しやすいんです。
リアルで対面すると、画面に映らない周りの要素に気づいて逃げることができるんですけど、オンラインだと逃げようがないんです。
あとZoomは小さい声だと雑音として処理してしまうので、かなり大きい、張った声じゃないと通りづらい。
それは稽古のためにはいいと思います。

先生のレッスンで、ここだけは大切にしているという指導のこだわりや特徴は何ですか?
マンツーマンが基本だというのもこだわりの一つですが、最大のこだわりは、レッスン中できるだけ定量的に教えることです。
例えば落語で「右を向いて、左を向きなさい」というときに、何度くらいなんだというのがあって、だいたい右15度、左15度なんですよ。
落語は割と主観的な要素が多くて、「パッとやって、サッとやって、ハッとやれ」というような抽象的なコメントしか得られないことが多いと思うんです。
それだとあまり有効ではないので、「15度、15度」と教えた方が説明しやすいんじゃないかなと思います。
実際に先生のレッスンを受けられている生徒さんは、どのような変化や楽しさを実感されていますか?
一番はやっぱり「仲間意識ができた」というお声がかなり多く聞かれます。
全国、今や海外にまで生徒さんがいらっしゃるくらいで。
皆さんそれぞれ孤立している中で、同じ落語という目標に向かって喋っている人が日本全国にこんなにいるんだ、という安心感が得られると思うんです。
だから、オンラインで落語を習うっていうのは、すごく悪いことではないと思います。

落語を日常に取り入れることで、日々の生活や心境にどのような良い影響があるでしょうか。
アピール力が高まるっていうんですかね。
まず声が大きくなるし、みんなの前に立っても、そんなに怖じ気づかなくなってくるんです。
もう大学生になった子なんですけど、小学生の時に授業中に騒いで先生に怒られていた男の子がいたんです。
その子が子ども向けの落語大会というのに出場して入賞したら、学校に帰って校長先生に「学校で落語をやってくれ」って言われたんですよ。
それまでずっと喋って怒られていたのに、今度はわざわざ校長先生から喋ってくれと言われる立場になって。
極端に言えば、自分の人生観が変わりますよね。
これから落語を始めてみたい、体験レッスンを受けてみようか迷っている方へ、メッセージをお願いします。
落語をちょっと喋ってみたいなという考え方は全く正常なので、そのまま素直に体験レッスンでも受けられればいいと思うんです。
「喋ってみたい」っていうのは、人間にとっての必要不可欠な欲求だと思うんです。自分の意思を第三者に伝えるには、やっぱり喋ることが基本だと思うんですよ。
だから、とにかく喋って何か伝えたいなっていうのは、やられた方がいいと思います。
最後に言いたいんですけど、「落語がめちゃくちゃ嫌いだ」っていう人には、今まで会ったことがないんです。
「落語やってるんですよね」って言うと、だいたい好意的に受け止めてくれるんですよ。
「落語」の3音だけで、もうウェルカム状態になる。
コミュニケーションツールの一つとして考えてもいいと思うので、やられたらいいと思います。
実際、企業さんから「落語を研修に使いたい」と言われて、1年間、全国の支店を回らせてもらったこともあるんです。
希望する社員さんに落語の小話を教えてほしいと。
250人くらい、一人当たり3回ずつ受けてもらいました。
よかった点を社長さんに聞いたら、ルーチン営業の中で、「今、落語やってますよ」といった話題を出すと、めちゃくちゃ食いつきがいいんだと。
人と人とのちょっとした会話のきっかけとして、落語が思わぬところで役に立つこともあるんです。
たまたまその会社の一人が落語好きの方で、私の落語会を見に来てくれたのがきっかけに、会社で2時間弱喋らせてもらう機会もいただきました。
そのときに来ていたある若い方が、「クラシックが好きでよく聴きに行くけど、時間が経つと飽きてくる。
でもあなたの話は1時間50分聞いていても飽きない」と褒めてくれて、またある方は、「自律神経失調症で毎夕方薬を飲んで仮眠するんだけど、お前の話を聞いて薬を飲むのも寝るのも忘れてしまった」とおっしゃって、それが研修導入のきっかけになったんです。
なかなかない機会ですよね。
まずないですよね。でも、そういうニーズを考えながらやっているつもりなんです。
素晴らしいですよ。先ほどの企業研修のお話を聞いて、音楽療法に通じるものがあるなと感じました。
それはあるんじゃないですかね。私、いろんな人に「声がいい」って言われるんですよ。「耳障りがいい」っていうのがありますよね。
生徒さんによく言ってるんですけど、実生活の中で「この人嫌いだ」「この人好きだ」ってあるじゃないですか。
その違いって、人間的に悪いかというとそうでもなくて、一番の違いは声なんですよ。
声が自分にとって好きだったら、話す内容も好きになりやすい。
だから、人それぞれ「許容範囲の周波数」というのがあるはずなんです。
落語も歌もそうですけど、同じネタを何度も聞いて、ストーリーも結末もわかっているのに「やっぱりこの人のこの間だよな」っていうのは、やっぱり声、喋り方なんですよ。
それが好まれるか好まれないか。だから音楽も落語も、根っこの部分ではつながっているんじゃないかなと思います。
まとめ
笑生十八番先生、ありがとうございました!
落語の世界を体験したい方は、オンラインで気軽にはじめられます。
伝統文化オンラインでは、笑生十八番先生の「30分で小噺が話せる、オンライン落語ワークショップ」を開催しています。
ぜひ、気軽にご参加ください。


