書道をはじめてみたのはいいものの、筆の洗い方がわからない方も多いでしょう。
きちんとお手入れをすれば、長く大切に使うことができます。
せっかく購入した筆が使えなくなってしまうと悲しいですよね。
筆の洗い方の基本、そして服や水道を汚さないための工夫なども併せてご紹介いたします。
筆の洗い方は?
大筆の洗い方について
大筆は以下の4ステップでお手入れができます。
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1. 筆の墨を拭き取っておく
学校などで使用したときにその場で洗えない場合は、筆の墨をしっかりと拭き取っておきましょう。
書き損じの半紙などを使ってOKです。
優しく、毛を傷めないように拭き取りましょう。
2. 毛の根元部分をもみほぐしながら、ぬるま湯で洗う
冷たい水だと墨が溶けにくく、熱すぎると軸と毛をとめている接着剤が溶けて抜けたりする可能性があります。
30~40度くらいのぬるま湯で洗いましょう。
毛の根元部分をもみほぐすように洗います。
軸の中にも墨が入っていることをイメージしましょう。
この部分の墨を取り除くことで毛が切れたり、割れたり、腐ることを防げます。
洗っても洗っても墨が出てきますが、できるだけ根気よく墨を取り除くように洗ってください。
また、流水を使う際は水流の強さに気を付けましょう。
根元に強い水流を当てると毛先が割れてしまい、まとまりがなくなってしまうので注意が必要です。
3. 優しく毛を絞るように水分を拭き取る
洗い終えたら、優しく絞るように水分を拭き取りましょう。
そして、穂先がきれいになるように指で整えておきます。整えていないと乾燥後にまとまりがなく、バラバラになり書きにくくなってしまいます。
4. 風通しのよい場所で陰干しする
洗い終えた筆は、風通しの良い場所に吊るして自然乾燥させましょう。
乾ききらないうちに使ってしまうと毛が腐る原因になってしまいます。
毛が腐ってしまうと、抜け毛や切れ毛ができやすくなり、穂先ごと抜けたり割れる原因になるので要注意です。
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小筆の洗い方について
小筆は洗わず、拭くだけでお手入れが可能です。
使った後は、書き損じの半紙やティッシュを少し濡らしたもので墨を拭き取りましょう。
その後、穂先を整えて吊るし、乾かします。
小筆はもともと糊で固められた状態で販売されており、穂先の3分の1程度をおろして使います。
水洗いをしてしまうと、根元の糊が取れて毛が大幅にほぐれてしまい、書きにくくなってしまいます。
そのため、洗わない方法でお手入れをすることが大切です。
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気を付けてほしいこと
1. 使用後の筆や、洗い終わった筆にキャップをしない
湿った状態の筆にキャップをすると、毛が腐ってしまいます。
抜け毛や切れ毛、穂先ごと抜けたり割れる原因になります。
2. 筆を洗う時に洗剤を使用しない
洗剤を使用すると毛が痛む原因になるため、ぬるま湯のみで洗うようにしましょう。
よくもみほぐし、根気よく繰り返し洗うことが大切です。
硯や下敷きの洗い方は?
硯の洗い方について
硯は以下の3ステップでお手入れができます。
1. 書き損じの半紙や新聞紙で墨を拭き取る
硯の角に墨が残りやすいので、注意して拭き取りましょう。
2. ぬるま湯で洗い流す
墨が固まってしまった場合、ぬるま湯を入れて少し時間をおいてから洗います。
硯が割れないよう、ゴシゴシせずに優しく洗いましょう。
3. 自然乾燥させてからしまう
水分を拭き取り、よく乾かしてからしまいましょう。
湿ったまましまうと痛んでしまいます。
下敷きの洗い方について
下敷きは布ですが、水洗いはしないでください。
墨がついたらティッシュ等で拭き取るか、濡れた布で拭くようにします。
墨は時間が経つと固まってしまうため、墨がついたらできるだけすぐに拭き取るよう子どもに伝えておくと安心です。
落としきれなくなって書き心地に影響が出てきた場合は、新しいものに交換しましょう。
家庭で汚さないための工夫は?
紙コップやペットボトルを使う
洗う時に墨がはねて周りが汚れないよう、紙コップやペットボトルを使うと便利です。
容器の中にぬるま湯を入れ、筆を入れてゆすり洗いしましょう。
最初は墨で水が真っ黒になりますが、繰り返し洗うことで水の色が薄まり、墨が落ちていくのがわかりやすいです。
また、流すときも墨が周りにはねない裏技があります。
まず、カットしたペットボトルのキャップをはずし、飲み口部分を排水溝に立てます。
その立てたペットボトルの中に洗った水を流すようにすると、はねることを防げますので、活用してみてください。
キッチンで洗う
洗面所のホーローや人工大理石は、墨がついたままにしておくとシミの原因にもなります。墨がはねていることに気が付かず放置し、気づいたらシミになっていたなんて嫌ですよね。
キッチンのシンクはステンレスのものが多いです。
ステンレスは墨汚れを落としやすいため、キッチンで洗うこともおすすめです。
まとめ、筆を洗うまでが書道
筆の洗い方について紹介しました。
筆を使った後、そのまま一週間放置してカチコチになってしまった、なんて経験はありませんか?
墨で固まった筆をそのまま使うことを続けていると、筆が痛んでしまい長持ちしません。
筆を使い終わったら洗う、これをワンセットにしましょう。
最初は面倒くさいかもしれませんが、習慣づけることが大切です。
筆は休ませながら使うのが理想的です。
お気に入りの筆を2~3本用意して順に使うことで、筆を長持ちさせることができます。
しっかりお手入れをして、お気に入りの筆を大切に使い続けたいですね。
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